まち歩きレポート

2015/06/06 第5回千住いえまち主催まち歩き

日時:2015年6月6日 13:00~16:00
集合場所:東武線 堀切駅西口出口
参加人数:一般参加者26名 いえまちスタッフ10名 計36名

スタート地点の堀切駅。千住の地勢など、まち歩き前の基礎知識のショートレクチャー

今年の梅雨入りは遅いと云われていたものの、天気予報は雨・・・。前日からの雨が心配でしたが、明方にはあがり、気持ちの良い天候のなか第5回のまち歩きが開催されました。
今回も一般の参加者が26名、いえまちスタッフ10名と大人数でのまち歩きです。
10歳の子が2人、7歳の子が1人とお子さんも参加して下さいました。

集合場所は東武線堀切駅西口。木造の素朴な駅舎と金八先生の舞台としてもお馴染です。
午後1時に予定通り、いえまちメンバー佐々木さんのショートレクチャーからスタートです。

まち歩き一行は歩道橋を渡り、荒川の河川敷に向かいました。

荒川の土手から千住の景色が一望できます。

現在の荒川は度重なる水害から人々を守るために大正年間かけて開削された人工河川であること、それにより東武線の線路や堀切の駅舎も移設された事などが説明されました。
堀切橋は当初は現在より南側に掛っており木造橋であった話をすると、当時の橋のご記憶のある参加者がおられ、逆に私達が当時の様子など教えて頂きました。地元の方の参加が多い、いえまちのまち歩きではこのように地元の大先輩から逆に教えて頂ける事が度々あります

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土手を下りて、柳原千草園を通り抜け、今回のまち歩きの目玉である「冨澤家」へ。

築約170年の冨澤家を前に参加者の期待も大きくなります。。
築約170年の冨澤家(この写真のみ 2014年8月撮影)

冨澤家は江戸時代末期、築170年程の建物です。浅草橋場(現在の白髭橋付近)にあった旗本の下屋敷を堀切の辺りに移設し、荒川放水路の開削に際し、現在の柳原の地へと2度も移設を経験しているお住まいです。現在も大変丁寧に住み継がれています。

手入れの行きとどいた庭からは地震柱が見える。

ご当主の奥様が私達にお話をして下さいました。まず手入れの行きとどいたお庭に案内して下さり、関東大震災の復興時に添えられたという柱(地震柱)を見せて頂きました。玄関より内部に入れて頂くと、間仕切りの建具が、簾戸にたて替えられていました。日本人の知恵と伝統が生んだといえる、なんとも清々しい空間に参加された方も大興奮でした。


伊豆の長八作の鏝絵「潮汲みの図」(区有形文化財)を前に奥様よりご説明をして頂く。

茶道教室もされている炉の切られた和室には、さらに見どころが。左官の名工として著名な伊豆の長八(入江長八)の鏝絵が飾られています。そちらも見学させて頂きました。

後ろ髪を引かれる思いで、冨澤様に参加者一同お礼を申し上げて、次の目的地である、柳原商店街に向かって出発しました。

昔ながらの柳原商店街を歩く。
稲荷ずしを買われる方も。

柳原商店街の魅力は、通路幅の狭さもあってか、建て替えなどの更新が進んでいないこともあり、昔ながらの商店街の雰囲気を感じれるところにあります。
歩きながら、夕方の懇親会のおつまみとしてもお世話になる、「松村」さんのお稲荷さんやお肉さん「上岡」さんのコロッケ、メンチカツなど思い思いに好みのものを皆さん買われていました。こんな食べ歩きもまち歩きの楽しみです。
柳原商店街から北千住駅東口の千住旭町商店街に向かって進みます。こちらではオーナーが千住出身の「いのこ菓子」さんへ。木造2階建ての以前は事務所であった1階をリノベーションして営業されています。小さな店内には、オーナーの趣味で選ばれた古い建具屋、ペンダント照明のランプシェードが
見られます。洋菓子屋さんではありますが、和のデザインを感じるものが好きで選んだとの事でした。


「いのこ菓子」オーナーさんから話を伺う。

「いのこ菓子」さんを出て、まち歩き一行は古民家改装・ギャラリー運営・商店街や地元企業と協働したアートイベントを数多く開かれている「千住芸術村」へ。木造平屋の建物をリノベーションして使われているギャラリーで、代表である加賀山様より説明をして頂きました。 また近くで現在解体中のリノベーション物件にも案内して頂きました。木造2階建ての住宅であった建物をリノベーションにより魅力的に再生される予定で、現在は解体工事中です。 現場の端の方には解体された材料なども積まれ、見学の際には気を付けていただくよう声をかけさせて頂きましたが、子ども達は楽しそうに歩きまわっていました。これから、どんな風に仕上げられ、使われていくのか非常に楽しみです。加賀山さんに皆でお礼を言って出発です。 まち歩きも後半です。

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「千住芸術村」加賀山代表より話を伺う。

さあ。まち歩きもゴールに近づきます。

千住らしい風景。大塚家の蔵。
さあ。まち歩きもゴールに近づきます。

日本たばこ産業社宅跡地に移転し、北千住駅東口周辺を一新させた東京電機大学の新キャンパス、旧区立第十六中学校校舎を再利用しているTDU東京千住アネックスを通り、大塚家の蔵へ。

道路から見える蔵は土蔵の蔵ですが、敷地内にはかつて米蔵、その後住まいの一部として使われていた煉瓦蔵が現存している事や、荒川放水路の開削により曳き屋で移設し、当時茅葺であった母屋が現存していることなどをお話ししました。


まち歩き当日、大塚様より蔵についての案内が書かれたパネルを出して頂いており、それを見て頂きながら説明させて頂きました。この場所にこのような蔵がある事を知らなかった方もいらっしゃいました。そんな方には千住らしい風景の一部を見て頂けたのではないでしょうか。


さあ。大塚家の蔵を出るといよいよゴールの日ノ出町団地スタジオへ。

ゴール地点の団地スタジオで永井様、上本様よりお話を伺う。

こちらは日本住宅公団(現UR都市機構)が供給した団地の1階店舗部分をリノベーションしたスタジオです。スタジオを主催されている永井美里様、上本竜平様にお話を伺いました。
現在ヨガのスタジオとして主に利用されていますが、千住にはこのような規模のスタジオも少ないのでもっと色々な事に利用されそうです。私達千住いえまちでも3月に千住を題材としたショートフィルムの上映会と制作者を交えてのトークイベントを企画して、こちらのスタジオをお借りいたしました。

団地スタジオでの懇親会。お稲荷さんとコロッケ(茶色い!)、焼き菓子、(後からマルゲリータも!)ビールで美味しく頂きました。子どもたちはまだまだ元気でした。

まち歩きに参加して下さった皆様、午後1時から4時までのまち歩き、本当にお疲れ様でした。
子ども達も元気に踏破することができました。
希望者の方にはそのまま残って頂き、ちょっとした懇親会をさせて頂きました。
柳原商店街や近所で入手したものを肴に楽しい懇親会となりました。
こちらの運営が上手くいかずに、団地スタジオに到着した時点で、終了だと思い、そのまま帰られた方もおられました。大変申し訳ございませんでした。

今回も、冨澤様、柳原商店街の方々、いのこ菓子さん、千住芸術村の加賀山様、大塚様、日ノ出町団地スタジオの永井様、上本様、他にも沢山の方のご協力で無事にまち歩きを行う事ができました。
本当にありがとうございました。これまでの旧日光街道を中心とした、まち歩きとは一味違う、でもやっぱり千住らしい、千住はもっともっと奥が深い、と思わせてくれるそんなまち歩きとなったのではないでしょうか。

(千住いえまち/宮島 亨)