まち歩きレポート

2016/4/3千住いえまち 『寺シネマ』

日時:2016年4月3日(日)
集合場所:北千住駅東口駅前ロータリー
参加人数:一般参加者50名 いえまちスタッフ11名 計61名
参 加 費:1500円(和菓子4点含む)

北千住駅東口ロータリーで集合。健脚だったご高齢の方から半袖の子供まで様々。初めに千住の基礎知識を簡単にお話してスタート!

 良いイベントでした。
と、思わず最初に伝えたい程、素晴らしい企画ができました。

 千住いえまち、春のまち歩きは、千住で映画の新しい楽しみ方を提案しているキネセンジュさんとのコラボ企画『寺シネマ』。お寺の本堂で上映する映画「あん」にちなんで、北千住駅を出発して桜を愛で、和菓子店でどら焼きなどのお菓子を買いながら、安養院というお寺にゴールをするというまち歩き。映画とまち歩きの組み合わせも、桜の開花に合わせたまち歩きも初めてでした。「今年の桜の開花は早いらしい」「でも気温があまり上がらないようだからもつみたい」「当日の天気が少し怪しい」「晴れ女のKさん!頼みます!」などスタッフは気持ちをとてもザワザワさせながら当日まで過ごしました。

さぁ、どんな寺シネマになったでしょうか。

1件目の和菓子店「せりかわ」さん。和菓子職人として色々なところで修行を重ねていた職人時代に縁あってこの地に店を構えたのが昭和50年。ご主人からどら焼きを受け取ります。

 午前のまち歩きの集合時間11時は時折雨がちらつく生憎の天候となりましたが、2回目の午後3時半からのまち歩きは薄陽も差し、少し汗ばむ程の陽気となりました。天候に不安がありましたが、参加者は前日にキャンセルの連絡を頂いた一名を除く、合計50名の方に参加して頂きました。お話を伺うと神奈川県からいらした方が何人もおられました。冒頭、千住の地勢や歴史についてショートレクチャーをして、さぁ出発です。
  東口の商店街を抜けて、南下します。しばらく歩くと一軒目の和菓子店「せりかわ」さんに到着です。ご主人からお店の紹介をして頂き、参加者1人にどら焼き一つを手渡しで頂きました。

千住の桜の名所の大踏切の通り

満開の桜並木のトンネルを一行は満喫。

 せりかわさんを出て少し進むと現在の千住の桜の名所の大踏切の通りに出ます。この通りともう一本南側に平行に走っている墨堤通りは江戸時代にはそれぞれ熊谷堤、掃部(かもん)堤と呼ばれた堤防であった事や、荒川土手まで続く桜並木は戦後疎開地を道路とした疎開道路と呼ばれていることなどをお話ししながら桜並木を歩きます。桜は満開!とても綺麗でした。


千住らしいもう一つの顔。飲み横。近年飲み横にリノベーションでセンスの良いお店が増えています。

 大踏切を渡って芸大の桜を見ながらディープな千住「飲み横」のゾーンに進みます。近年リノベーションによるお洒落なお店も増えてきています。千住の駅前のバス通りを横断して、北上します。丸井の横を通り過ぎ少し進んで一本の路地を入ります。千住らしく生活感にあふれた路地を進むと正面に土蔵の蔵が現れます。以前お茶屋さんを営まれていた中川園さんの蔵です。駅前の開発された景色からほんの少し歩いただけで歴史を感じさせる蔵に遭遇して、参加された方も千住のまちの面白さを感じて下さったようです。

2へ続く

生活感あふれる路地を抜けて

生活感あふれる路地に建つ土蔵の蔵。旧日光街道からは伺い知ることができません。
本氷川神社の参道に建つ昭和初期の住宅。住まい手である舟橋さんから住まいや路地への思いを伺いました。

 路地の横を抜けて旧日光街道に出ます。旧道から本氷川神社の参道に入ります。路地の途中にはいえまちメンバーである、舟橋さんの住まいがあります。元はこの地で沢山の赤ちゃんを取り上げたお産婆さんの住まいです。住まい手である舟橋さんは現代の合理性の追求とは異なる、この住宅の大らかさをとても気に入られて住み続けておられます。そんな住宅や路地への思い、子育てについてお話を伺い出発。


二軒目の和菓子店「平野屋」さんへ。

2軒目の平野屋さんへ。炭火で手焼きの善次郎煎餅を1枚ずつ頂きます。

 毎週月水金は店頭で炭火の手焼きをしています。お勧めの善次郎煎餅を一人一枚づつ頂き再び出発。旧道に戻り、たこの滑り台があることから通称「たこ公園」と呼ばれている千住ほんちょう公園 へ。ここは宿場町の地割一区間がそのまま公園になっているので、その間口が狭く奥行きが長い地割の特徴が良くわかります。


3軒目は福寿堂さん。色々な和菓子があるのですが全体のバランスを考えてあえて稲荷寿司をチョイス。美味しかったです!

 さぁ、ゴール目指してもう少しです。

 旧道を荒川に向かい北上します。三軒目の和菓子店「福寿堂」さんに着きました。沢山の種類の手作り和菓子やおにぎりなどあるのですが、今日はお稲荷さん。こちらも一つずつ手渡しで頂きました。


最後の4軒目は槍かけだんごさん。あん団子と焼き団子を頂きました。柔らかいお団子は美味しい!

 福寿堂さんを出て、少し進むと江戸末期の1860年築の商家である横山家、東京で唯一残る手書きの絵馬屋さんである吉田家さんの歴史を感じながら最後の和菓子店「槍かけだんご」さんへ。店名の由来の槍かけの松の話を聞き、あんだんごと焼きだんご(みたらし)を一本づつ頂きました。そしてゴールの安養院に到着です。


3へ続く

安養院の境内は、満開の桜!

こちらは午後3時半スタート組。2組で合計50名もの方が参加してくださいました。ありがとうございました!
ゴールの安養院は満開の桜が出迎えてくれました。写真は11時スタート組。

 安養院の境内の満開の桜が私達を迎えてくれました。いえまちオリジナルブレンドのハーブティーと一緒にまち歩きで頂いた和菓子やお稲荷さんを頂きました。


4軒で頂いたどら焼き、稲荷寿司、お煎餅、お団子。もちろんどれも手作り。美味しかったです!
もちろん私たちいえまちメンバーも境内で頂きました!写真の左端の鏡にはいえまちメンバーで写真家の加藤さん。素晴らしい写真をありがとう!

 皆さん、軒下のベンチや観音堂の階段に腰掛けたり思い思いの場所で桜を愛でながら美味しく頂きました。私たちスタッフは声をかけて感想を伺いました。初めて千住に来たという方も結構いらして、皆さんとても楽しかったと感想を言って下さいました。ある方には「千住をなめてました。」とおっしゃってくださる方もおられ企画者冥利につきる思いでした。


今回のもう一つの目玉であるキネセンジュさんの映画についても触れましょう。

映画「あん」の上映は安養院の本堂。上映に先立ち住職がお話をして下さいました。その後は皆で般若心境を唱えました

 安養院の本堂にスクリーンと音響設備を準備して映画「あん」を上映しました。映画に先立って安養院の住職様より安養院の由来をお聞きし、皆で般若心経を唱えました。心が落ち着きます。
 キネセンジュ代表の栗林さんの挨拶の後いよいよ映画の上映です。


そしていよいよ映画の上映。キネセンジュ代表の栗林さんより挨拶。本当に素晴らしい映画でした!

 まち歩きをされた方は映画の中に登場する桜並木のシーンにまち歩きの大踏切の桜並木を重ね合わせたのでないかと思います。映画はどら焼き屋さんを舞台にハンセン病をテーマとした深い内容でしたが、、とても素晴らしい映画でした。主演の樹木希林さんの演技もとても心を打つものでした。参加者の方へのアンケートの中に、まち歩きと素晴らしい映画、とても贅沢な体験をさせて頂きました、と書いてくださった方がおられました。私達いえまちメンバーも本当に同じ感想でした。
手前味噌ですが、千住の今後に繋がる良い一日となったのではないでしょうか。

 改めまして、今回のまち歩きと映画の上映に協力してくださった安養院様、一人ずつに和菓子を手渡ししてくださった、せりかわさん、平野屋さん、福寿堂さん、槍かけだんごさん、そして今回のこの企画を持ちかけてくれて、本当に尽力してくださったキネセンジュの栗林さん、本当にありがとうございました。

 千住いえまちではこれからも春と秋の2回、まち歩きを企画していこうと思っています。
 秋はどんな企画になるのか、皆さんも楽しみにお待ちください。

(千住いえまち/宮島 亨)